ざっくり!ベトナム語概論

ベトナム語って、どんな言葉?

ベトナム語って、どんな言葉?
その特徴をあえてひとつ挙げるなら、
それは「ハイブリッド言語である」ということに尽きるでしょう。

中国4000年の深淵なる歴史が生み出した、
漢字文化という絶大な世界の影響を一身に受け、
美を愛する国フランスが今なお国をあげて守り続ける、
これもまた可憐な美しさを備えたフランス語を、
幸か不幸か壮絶な戦史の一幕をもって吸収し、
50を超える民族との共生の中で、
言葉の聞こえはメロディアスな声調を持つに至り、
さらには現世を生きる人々ならば目にしないことは決してない、
アルファベットという世界的文字への颯爽たる転身・・・

今日隆盛を見せつつあるハイブリッドカーなど、
同じハイブリッドという名前のみで比較するのもはばかられるほど、
さまざまな歴史の渦に混在した要素を、
過去を生きた人々が注意深く抽出し為し得た混成言語
それがベトナム語なのです。

そんなハイブリッド言語であるベトナム語が、
まさか、面白くないわけがありません!
あなたもぜひ、 魅力的なベトナム語の世界に触れてみてください。
ここではその手始めとしてベトナム語を俯瞰的に見渡し、
その容姿をざっくりと捉えてみることにしましょう。

ベトナム語のなまえ

「ベトナム語」は、何をもってベトナム語たりえるのでしょう。
その答えは、
ベトナム社会主義共和国という公が誇る「国語」であり、
50を超える民族集団という個が一線を引く「方言」でもある、
と言えるでしょう。

ベトナム政府は自国の共通語としてベトナム語を定め、
また各々に固有語を持つ民族たちも、
自らの共通語から見れば方言ともいえる、
「共通語」としてのベトナム語を、
幼い頃から学校で学び、扱えるようになります。

そして「ベトナム」という名前は、
かつて彼の地に存在した王朝の国号であり、
ベトナム人が歴史の中で勝ち取ろうとした名である、
「越南」を指します。
(歴史の詳細はベトナムの歴史を見てネ!)

その「越南」をベトナム語では と書き、
これに「言葉」を意味する tiếng をつけて、
tiếng と呼んでいます。
(ほとんどの場合 と略されます)

ベトナム語を話す人たち

ベトナム語がベトナム社会主義共和国という、
一国の「共通語」であることはすでに触れました。
そして同じく上述の通り、
固有語を持つ国内の民族たちも、ベトナム語を話すのです。

ベトナムの人口は約9800万人(2021年現在)ですから、
少なくともそれだけの数の人々が、
日常的にベトナム語を話しているのです。

そして彼らに加えて、
ラオスやタイ、カンボジアなどの周辺諸国に住むベトナム人、
またフランス植民地時代を通し、
フランスへ渡ったベトナム人は35万人に達するとも言われ、
さらには1975年のベトナム戦争終結後、
250万人とも言われるベトナム人が、
難民、いわゆるボート・ピープルとして、 アメリカ、中国、フランス、カナダ、
オーストラリア、そして日本にも住むようになったのです。

このように、 ベトナム語はベトナム本国だけではなく、
世界各地に散らばるベトナム人たちによって話され、
しかも各々が決して少数ではないコミュニティーを形成し、
ベトナム語の世界的な広がりの一翼を担っているのです。

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