50回忌の法事に飛び入り参加 、食べなれないアレも田舎のものなら!?

ふむにちわ!
ふむベトのゾースケです。

ハノイでの居候も20日目を過ぎました。
居候、居候と書いているので、
ここいらで居候先の家族構成を簡単にご紹介しましょう。
八年前の留学時からみなさんそれぞれ歳をとり、
お母さんは43歳、
長女は20歳、
次女は18歳、
三女は7歳。
そしてお父さんは、、、「工作」に出ています。
この「工作」、ベトナム語の công tác を漢字にしたもの。
普通に使うと「出張に行く」などの意味になるのですが、
ある境遇を指すのに言葉を濁すためにもよく使われるのです。
その「ある境遇」とはなんと、、、「刑務所に収監されている」状態。
お父さんは三年前にあることが原因で大きな借金を作って、
三年前から今も、そしてあと三年間、「工作」に出ています。
そして、お母さんも共同で作った借金だったので、
彼女も「工作」に出ており、
つい一か月ほど前に帰ってきたばかり。

そういうわけで、家にはお金がまったくありません。
お母さんは毎朝お茶を売って日銭を稼ぐのがやっとで、
「工作」から戻ってきたときの再スタートのため親戚や知り合いから借金をし、
現在それを返すために必死になっているという状況。

しかしお母さんは見た目はけっこうスリムだけれど、
とても太っ腹な人で、ぼくから宿代をとろうとしないのです。
もうあんたは家族、わたしの弟みないなものなんだから、と言って。
それでもお金がない状況に変わりはなく、
市場での買い物のお金をたまにぼくが出していますが、
基本的にはお金の無心をしてきません。
いえ、無心なんて居候のぼくが言えることではなく、
いくらかまとめて渡してやれよという声も聞こえてきそうですが、
ぼくもタイミングが悪くあまり余裕がありません。

それでも、いつも笑って豪気にやりすごすお母さん。
いわゆるスラング全開の、口がわるい人ですが、
とても情念深い人であり、昔も今も、ぼくがお世話になっている人なのです。

前置きが長くなりましたが、
今回はそんな彼女のおじいさんの50回忌にひっついて行ってきましたので、
ベトナムの首都ハノイの人々の法事の様子としてご覧くださいませ。

都人のふるさとは都のちかく

彼女のふるさとはハノイ中心部から南へ約20キロ、
トゥオン・ティン(Thường Tín)市。
バイクで小一時間ほど、首都ハノイに住む彼女は、
ハノイからほんの少しだけ南の出身。

おじいさんの法事と書きましたが、
ベトナム語ではおじいさん・おばあさんについて、
父方か母方で普段からきっちりと呼び分けます。
父方には「内」を表す nội
母方には「外」を表す ngoại をつけて呼びます。
日本語にも内祖母、外祖母などの言い回しがありますが、普段は使いませんね。
ベトナムではささいな日常の会話のなかでも、
きっちりと「内と外」を呼び分けます。
今回のおじいさんは彼女の父方のおじいさんなので、
おじいさんを意味する nội をつけて、 です。
ちなみに は「翁」からきているので、「翁内」というわけです。
(ベトナム語は後ろから修飾するので、「内」は後ろに置きます)
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市内に入り、国道一号線からそれると、そこはもうダート路です。
タイヤをとられまくる、砂利道です。

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ハノイからほんの少し離れただけですが、
そこはもうとっても田舎な風景。

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集落と集落のあいだには広大な田畑が広がっています。

これがベトナムの田舎の家!

ここいらの田舎の家は、母屋、そして広い庭、
庭にある納屋、主にこの三つで構成されています。
ほかにも納屋にかまどがあったり、庭に水まわりがあったりするようです。

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おじいさんの家の門です。
さあ、はいってみましょう!

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門をくぐって庭を抜け、右手にあるのは母屋。
すでに親戚があつまって何やらこしらえています。

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母屋の中には、日本でいうところの仏壇が。
色とりどりの供え物、そして、
今日のごちそうが次々と準備されているところです。

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こちら、門の方を敷地の中から。
田舎の風景って、どうしてこうも情緒たっぷりなのでしょう。

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母屋の前方に広がる庭です。
奥にかまどつきの納屋、手前に水場がつくられています。
今日のように多くの人が集まるときには、
みんなで庭でわいわいと料理をします。

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庭に赤犬が一匹。
なにやら怒りに震えているようです。
ま、まさか・・・。

ええ、そのまさかです!

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こちら、母屋の前で女性陣がロースト肉を切り分けています。
おいしそうな、豚のロースト。
なーんだ、豚か!

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庭の一角で男性陣がなにやら作業中。
も、もしかしてその黒っぽい煮えたぎる鍋は・・・!?

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も、も、もしかして、その黒い腸みたいなものは・・・!?

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やはり、そうでした。

犬です。
犬肉です。

ご存じない方のため、ベトナムの、特に北部では犬肉(thịt chó)をよく食べます。
日本の動物愛護団体から文句が聞こえてきそうですが、
郷に入ればなんとやら、ぼくはそこにあるものをいただきます!
というわけで、犬も、これまで度々いただいてきました。

さっきのワンちゃんが怒り心頭の表情だったのは、
おそらく彼とともにいた一匹が、
今日の人間の食べものになるのを目の当たりにしたからでしょう。
そして彼も、機会がくればそうなるのです。
まだ生きている彼に、ごちそうになりますと言っておきました。

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こちら犬の腸詰。
生血(tiết)ともち米(gạo nếp)と緑豆(đậu xanh)を混ぜて調味したものを詰め、
煮込んで火を入れたものです。
おばちゃんがひときれ、つまみ食い。
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こちらは犬の胃。

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これは心臓。
犬も、あますところなく食べます。

法事・・・といっても食べるだけ!

50回忌ということもあるのかもしれませんが、
法事と言ってもお経を読んだりすることもなく、
みなが集まってみなでごちそうを作り、
準備がととのったら食べるだけです!
(おばあさんたちは仏前で軽く手を合わせていましたが)

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豚肉のロースト、
とうもろこしのおこわ、
鶏の足とパイナップルの炒め物、
豚肉のすり身バナナの葉包み蒸し
五目揚げ春巻き、
アヒルと鶏の姿蒸し、
ブロッコリーと鶏の内臓炒め、
そして真ん中にどんとあるのが、犬肉の煮つけ、
真ん中手前が、犬の内臓盛りです!

もう明らかなとおり、
北部ベトナムの法事には、犬肉は欠かせない献立なのです。

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そして犬肉に欠かせないのが、
この紫のあやしげなもの。
ベトナムの食べ物で最も強烈な臭いと言っても過言ではない、
アミエビの塩辛ペースト(マムトム:)です。
犬肉には独特の臭みがあるので、
目には目を、臭みには臭みでなかったことにするのです。

とは言っても、
ハノイ市内で食べられる犬肉がおおむね臭すぎて食べづらいのに対し、
田舎のものは育つ環境がよいせいか、はたまた新鮮なおかげか、
おどろくほど臭みがありません。
それはマムトムにも言えることで、よいマムトムは確かに臭いけれども、
臭い中にくせになりそうな強烈な旨みがあります。

これまでに田舎で犬肉を食べる機会が何度かありましたが、
やはり、田舎の犬肉はおいしい。
望んで食べたいとは思わないけれど、
怒り心頭だった彼に伝えたい。
とってもおいしかったよと!

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さて、腹も満たされ帰ろうかしらと思っていたところ、
酒と犬肉で話に花を咲かせる男たちに引き寄せられ、
自家製の強烈なお酒と、強烈な犬肉&マムトムコンビに、
なかなか気持ちよくなってしまいました。
お母さん、帰りの運転させてすみません。

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ほぼ食べるだけの法事も終盤。
後片づけを女性たちが手際よくこなしていきます。
手伝いますよ!と言っても、
男は座って酒飲んでだまってろと言われてしまいました。
なんだか、「だまってろ」に重い意味合いを感じてしまう。
「ベトナムの男は働かない」と言った女性も何人かいましたが、
だからこそせめてだまってろ、そんなニュアンスなのかしら。
ベトナム女性、恐し強し。

さて、法事はベトナム語で giỗ と言います。
そして、法事に参加することを、ăn giỗ と言います。
はもともと「食べる」という意味で、
「宴会に参加する」という意味にもなります。
は他にもいろいろな用法があり・・・
などと、用法をいちいち考えなくても、
法事の様子を見れば一目瞭然ですね。

みんなで寄って集まって、ご先祖さまと、今を生きる人たちと、
ごちそうを、犬肉を、楽しい空気を「食べるだけ」なのですから。

(おわり)

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