テト休みの一週間、テトを食べ尽くす一週間 ~食べる編~

ふむにちわ!
ふむベト編集長のゾースケです。

ベトナムの旧正月テトについて、
数回にわたってご紹介してまいりました。
テトの前のいそがしい準備
年が交わる大みそかの夜
すてきな一年を願う初もうで

そして残るは・・・
食べることだけ!

というわけで、
あらかじめ言っておきましょう。

今回は、食べるだけの内容です!

親戚をたずねたずねて

ベトナム人の旧正月テトの過ごし方、
それはズバリ、親族・親戚をたずねて回ることです。

大みそかの夜に家族だけの大切な時間を過ごし、
年が明けたら家族みんなで、他の家族に会いに行きます。

よーし、適当に回るぞー!

というわけにはいきません。
ルールとまでは言えないものの、
親戚まわりにもシキタリがあるのです。

IMG_1552 「内祖父母」宅にて、元日お昼の食卓。

ぼくの居候先を例にとると、
元旦と五日は、つまり、テトの最初と最後の日は、
祖父母の家を訪れ、ごちそうを一緒に食べる。
午前は内祖父母、午後は外祖父母。

お父さんが「工作」に出ていていないわが家では、
いわゆる内祖母、つまりお父さんの実家で過ごすことは、
お母さんにとってあまり心休まることではありません。
一刻も早く、自分の実家でテトを過ごしたい!
そう顔に書いてあるようなお母さんですが、
まずはお父さんの実家でごちそうを囲むのがシキタリなのです。

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元旦午前、内祖父母の家に子、孫たちが集まってきました。
庭に留められたバイクの数が、
集まった人数の多さを物語ります。

IMG_1548ベトナム版お年玉。羊年なのに馬の袋が・・・。気にしない!

集まった親族どうし、お年玉を渡します。
北部では mừng tuổi、南部では lì xì と呼ばれ、
子どもたちにはもちろん、成人した子や孫から親や祖父母にも渡します。

胃と肝臓に気をつけて!?

内祖父母宅での元日お昼の宴会を皮切りに、
テトの親戚まわりは休むところを知りません。

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外祖父母宅、つまりお母さんの実家にて、
元旦の晩ごはんのワンショット。
お母さんの兄弟姉妹、その夫や妻、その子どもたち、
みんな集まって大宴会です。

どの国でもそうなのでしょう、
一番うれしそうなのは、子や孫を見て頬がゆるむ祖父母です。

IMG_1559 外祖父母宅の神棚。桃や梅にくわえ、手前の菊もテトの代表的な花。

二日以降もつづきます!

IMG_1565 テトのごちそうは食べる前に神棚にお供えします。

元旦に祖父母の家でごちそうを囲んだあと、
二日以降はいとこ・親戚宅をまわります。
血のつながった者どうし、
家族になった者どうし、
ごちそうを囲み、酒を飲み、
つまらない話に花を咲かせます。
花が咲いたつまらない話ほど面白いものはなし。
親しく思い合う者どうしですから、なおさらです。

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モッ・ハイ・バー・ゾー!

乾杯のかけ声が止むことを知りません。

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三日、ぼくの居候先の家にも人が集まります。
見ての通り、メンバーはほぼ同じ。
場所を変えて、連日ごちそうを囲みます。

モッ・ハイ・バー・ゾー!
モッ・ハイ・バー・ゾー!!
モッ・ハイ・バー・ゾー!!!
ゾー!!ゾー!!ゾー!!

ベトナムの旧正月テトは、元旦から五日まで続きます。
飲み、喰い、しゃべり、笑い、
胃は満タン、肝臓はフル稼働、胸はいっぱいになります。
新しい一年を、みんなで祝って歩き出します。

食べ、食べられ、食べ尽すテト

ベトナム語で「食べる」は「アン」ăn と言います。
「アン」は多義語で、「食べる」のほか、
「調和する」「つながる」「祝う」「宴会に出る」など、
たくさんの意味合いを持っています。

そして何を隠そう、「アン・テト」と書いて、
「テトを過ごす」と言う意味になるのです。

テトで家族が調和し、
テトで親戚がつながり、
テトで宴会をして一年を祝う。

テトをアンする、「アン・テト」には、
そんなめでたいもろもろを、
みんなで食べ尽そうというきもちが込められているのです。

大みそかからはじまり、
五日まで続く約一週間のテト休み。
一年のはじまりを食べ尽す一週間。
テトにむかえ、家族がつながり、みんなで祝う。
そのよろこびのすべてが、
ベトナムの「アン・テト」に詰まっています。

(おわり)

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