いいブタをいじらないで
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ふむ吉のひとりよがりなアーティスト魂の餌食になった、
スカーフだけでも十分に愛らしかったはずのマロンちゃん。
食物連鎖における、
トラとブタという上下関係の力を借りて、
無理やり愛豚の姿を変えようとした小太りなトラですから、
責められても文句は言えないでしょう。
でも!
ふむ吉はいいと思ってやっただけなんです!
ただ純粋に、
マロンちゃんを可愛くしたかった、
それだけなんです!
そう、
良かれと思ってやったことが、
裏目に出ること、
これこそが今回のミソなのです。
さっそくベトナム語を見てみましょう。
[ブタ] [良い] [直す] [~になる] [ブタ] [不自然な] 良いブタに手を加えておかしなブタになる
lành と què は対比表現になっていて、
lành は「良い、欠点がない」、
què は「(障碍があって)不自由な」が原義です。
chữa は「直す、修理する、改善する」という意味です。
今回のふむ吉の行為では、
本物のブタをおかしくしてしまったわけですが、
もともと十分よかったものが、
下手に手を加えておかしくなる
というような意味で広く用いられる表現です。
往々にして、
ものごとは結果だけで評価されがちであり、
良い結果であれば拍手喝采を受けるだけで、めでたしめでたし。
しかしひとたび悪い結果なら、
その結果をなじることだけでは飽き足らず、
背景にあった動機にまで、
人々は嘲笑の眼差しを向けるでしょう。
実際この諺が使われる場面としては、
豊胸や二重まぶたなどの、
成形手術の失敗のリスクを伝えるニュースであったり、
修理に出した機械類が、
余計にひどくなって戻ってきたような話であったり、
近いところでは、
スペインのキリスト壁画が修復後サルのようになった話題であったり、
(それが話題になって思わぬ経済効果を上げているようですが)
それらは総じて、
良い結果を期待してやった行為が、
逆に不都合な結果になってしまったことを皮肉る論調です。
諺とはそういうものなのかもしれませんが、
「障碍があって不自由な」という意味の què を持ってくるあたり、
少々過激な印象がありますね。
最後に、
ふむ吉が善意でやらかしたマロンちゃんの惨状を、
フルカラーで見ておきましょう。
これです!
・・・・。
やっぱり、
もとのままのほうがいいですよね・・・。
(おわり)
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