Vietnam Foodspedia
Yellowfin seabream
キチヌ
ベトナム北部の汽水域でも養殖される、黄色いひれの白身魚。
Acanthopagrus latus (Houttuyn, 1782)Sparus latus Houttuyn, 1782(原記載名。)Chrysophrys auripes Richardson, 1846(分類学的異名。)Chrysophrys xanthopoda Richardson, 1846(分類学的異名。)Chrysophrys rubroptera Tirant, 1883(分類学的異名。)Sparus chrysopterus Kishinouye, 1907(分類学的異名。)
キチヌキビレ(別名。)
Yellowfin seabreamHouttuyn's yellowfin seabream(英語の別名。)
どんな食材?
キチヌはタイ科クロダイ属の食用魚で、学名は Acanthopagrus latus。ベトナムでは cá tráp vây vàng と呼ばれる。名前の vây は「ひれ」、vàng は「黄色」を意味する。現在の分類では東アジアの大陸棚沿岸に分布する種とされ、ベトナムでは北部からフエ付近にかけて記録される。浅い沿岸域にすみ、河口や汽水域にも入る。身は透明感のある白身である。
体は左右に平たく、若い個体では体高が高く、大きくなるとやや細長くなる。腹びれ・臀びれ・尾びれには白黄色から鮮黄色が現れ、背びれ前半には硬い棘が並ぶ。この黄色いひれが、丸魚で見たときの大きな特徴である。
ベトナムでの使われ方
ベトナムでは養殖対象となり、北部の汽水域で広く育てられている。
Cá tráp はタイ科の魚を広く指す呼び名としても使われ、次の料理例はキチヌ一種に固有のものではない。例えば、cá tráp nướng tỏi (タイ類のにんにく焼き)では魚ににんにくや香辛料を合わせて焼く。Cá tráp hấp xì dầu (しょうゆ蒸し)は、生姜やねぎとともに蒸した魚にしょうゆ系のたれを合わせる料理である。ほかに、丸魚を揚げて甘酸っぱいソースをかける cá tráp chiên giòn sốt chua ngọt や、トマトや漬物野菜と煮る酸味のあるスープ cá tráp nấu canh chua もある。
見分け方
クロダイ(Acanthopagrus schlegelii)と見比べると、キチヌは腹びれ・臀びれ・尾びれの黄色が目立つ。ただし黄色の強さには個体差がある。色だけで迷う場合は、第5背びれ棘の基部付近から側線までの鱗列も手掛かりになり、キチヌではおおむね3.5〜4.5列でクロダイより少ない。
ベトナムの現行公的名称では cá tráp vây vàng が Acanthopagrus latus に対応する一方、cá tráp vàng や cá hanh vàng は Dentex tumifrons に割り当てられている。「ひれ」を意味する語の有無で名前の対応先が異なるため、似た呼び名でも学名や魚体の特徴を合わせて区別する。



