お城の町とベトナムが、人間でつながろうとしています!

ふむにちわ!
ふむベト編集長のゾースケです。

いまベトナム旧正月テト休みのまっただ中。
人々は田舎に帰ったり、親戚まわりをしたり、
想い想いにテトを過ごしています。
そんなテトの一週間前、ベトナムはハノイで、
日本のお城の町とベトナムが、
人と人でつながろうとするイベントが開催されました!

お城の町の元気がベトナムへ!

日本にはお城がたくさんあり、
お城を抱いて町おこしをする町もたくさんあります。
その中でも日本のお城で唯一の世界遺産といえば・・・

2014912142858 © 姫路市ホームページ

そう、姫路城!

平成の大改修を終えたばかりの真っ白な姿。
そんな美しい姫路城を擁する町、姫路市。
なにを隠そう、ぼくの生まれ&育ち故郷でもあります。
そして、1975年以降のベトナム人を含むインドシナ難民を
市として受け入れた町でもあります。

ぼくの故郷でもあり、
かねてよりベトナム人が多く住む町、姫路市。
そんな姫路市に所在する姫路経営者協会が主催するイベント、
『STEP HARIMA』が、なんとベトナム・ハノイで開催されたのです!

みなさんは「HARIMA」をご存じでしょうか?
「はりま」の正体、それは、
姫路市を含めた兵庫県の西部「播磨地域」のこと。
「播州(ばんしゅう)」とも呼ばれ、
まだ熱冷めやらぬ大河ドラマ「軍師官兵衛」で知った方もいるかもしれません。

この播磨地域の元気な地元企業を中心とし、
1983年から開催されてきた企業説明会、それが『STEP HARIMA』なのです!
そして、その32年の歴史の中で、
初の海外開催となったのがベトナム・ハノイというわけです。

ベトナムに毒された身として、
姫路に大きくしてもらった身として、
フォーカスしないでいると帰る場所がなくなるぜ!
というわけで、
STEP HARIMA in Hà Nộiの潜入レポートをお届けします。

ベトナムの元気な若者のみなさん、
日本の元気な中小企業で働いてみませんか!?

日本ではひと昔前の求人枯渇の状況は脱したものの、
求職者の多くが大手志向・安定志向にあり、
少数精鋭を肝とする中小企業にとって、
優秀な人材の確保は現在、困難を極めていると言われています。

そんな背景もあって、
親日国であり、人が若く活気あふれるベトナムに、
白羽の矢が立ったということです。

それでは、会場の様子を見てみましょう!

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会場は、フォーチュナ・ホテル・ハノイ。

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こちらは午前の部、会社説明の模様です。
今回の参加企業10社のほとんどが、理工系のものづくりを担う会社。
ものをつくるという仕事において、
優秀なエンジニアの採用・育成は死活問題です。

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ベトナム人には親日家が多いということ以上に、
いま、播磨の企業で働くベトナム人が非常に優秀であることも、
ベトナム開催決定への重要な要素であったそうです。

現在すでにベトナム人を受け入れている企業、
これから受け入れたいと考える企業、
参加企業の姿勢もさまざまです。
それぞれの企業のプレゼンテーションが進むなか、
日本のものづくりの現場の声を、
先を照らしてくれる先輩たちの姿を、
ベトナム人参加者のみなさんは真剣な顔つきで視聴していました。

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午前の部が終了し、立食形式の昼食です。
あちこちで活発な会話が聞かれ、
企業と参加者の間が埋まっていくようです。
・・・。
お腹も埋まったけれど。

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さて、午後の部はいよいよ、
参加者ひとりひとりへの個人説明会です。

50数名の参加者が代わる代わる、
各企業のブースへと足を運びます。

日本語ができる方もそうでない方も、
コミュニケーションを図ろうと全力を尽くしているようでした。

「日本で働くということ」をどう思っているのか、
会場で行われたアンケートを見る機会がありました。
もっとも多く見受けられたものは、
日本語、日本文化、日本の職業文化への順応への不安の声です。
しかし、言語や習慣は海外で働くにあたり、
はじめは誰もが知らないことばかりで、
実際に経験・運用して身に付けていくものです。
新しい環境への適応という課題よりも大いに重要なことは、
その人物の人柄、やる気、積極性、忍耐力。
つまり、
個人でふんばるときのひとりの人間として、
まわりと手を繋ぐときのひとりの人間として、
どうあるのか、どうありたいのかということでしょう。
そこでは外国人であることなど、おおよそ二の次です。

頼もしい言葉を見ることができました。

自分の夢をかなえたい。

新しい技術を学び、よりよい仕事をしたい。

チームワークを持ってするからこそ成せる仕事を見てみたい。

技術や知識を持ち帰って社会へ貢献したい。

もちろん、直接対話ではないあくまで匿名のアンケートですから、
体裁がいいだけの答えだ、表面的な言葉だと切って捨てることもできます。
しかし、匿名のアンケートであるにも関わらず、
彼らがびっしりと想いを書き込んだという事実こそが、
彼らの実直さを大いに担保するものだと言えるのではないでしょうか。

海外の企業の説明会、さらにはある程度限定された生産分野、
それらを考慮すると彼らの意識がそのまま、
ベトナム人求職者全体の意識であるとは到底言えません。

しかし、
彼らにとって日本という外国の技術や仕事作法を、
自国を離れてまで学び、自己を高め、家族を幸せにして、社会に貢献したい。
そう考えているベトナム人の若者が確実にいるのです。

人間どうしがつながって、未来へ

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午後五時、盛況に終わったSTEP HARIMA。
ここから、国境を越えて、
新たな人と人のつながりが生まれていきます。

会社説明会の部で日本側のある経営者の方が仰いました。

「わたしはこれからもずっと、彼の夢を支援していきたい。」

その「彼」とは、
3年間日本での研修を終え、
この1月にベトナムへ帰ったばかりの、25歳のベトナム人男性。
彼にはベトナムで独立して会社を経営するという夢があり、
会社説明会では、自身が働いた日本の会社を彼自らが語り紹介ました。

ここからはぼくの個人的な見解ですが、

経営者の方が彼を応援したいと言ったのは、彼とつながったから。
彼とつながり、彼を好きになったから。
そこには技術供与やお金の利害関係を考えるよりも前に、
未来を共に歩んでいきたいという強い願いがあると、ぼくは感じました。

言葉も育った環境も違うものどうしが、
互いに真剣に、仕事をともにすること。

良い仕事をつくりあげていく中で、
お互いの「人間」を好きになっていくこと。

好きな人間の将来を、
案じ、案じられ、行動を起こすこと。

これこそが、
日本とベトナムという異国の人間どうしがつながることの、
最大の意義なのではないでしょうか。
俗にいう先進国、途上国、
それらはこの先いつ立場が逆転してもおかしくないでしょう。
その時に、利害を超えた人と人とのつながりをもつ者どうしこそが、
心底笑って手を差し伸べ合うことができるのではないでしょうか。

当サイトABOUTページにも書いていますとおり、ぼくの願いもそこにあります。
国や政治の枠組みを越えて、
働く人間どうしが勝手に、自由に、つながり合うこと。
それをとにかく深く、濃く、多くしていくこと。
あとは「好き」という感情が、人を動かしていくはずです。

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各企業のパンフレットとともに、
いろいろな姫路グッズが。

「しろまるひめ」というキャラクターをご存知でしょうか。
お城と姫の二種類のピンバッジがあったのですが、
ベトナム人のみなさんには、お城より、彼女が人気のようでした。

最後に、お節介を承知で言わせてもらうなら、
ベトナム人を受け入れる企業の方も、
ベトナム語をできるだけ学んでほしい!
外国人へのベトナム人の開き方、ベトナム語を話すか否かで驚くほど違います。
そして、テトには帰国して家族と過ごしたいなどの、
ベトナム人の伝統や慣習も大いに汲んでほしい!

ある企業では、姫路に住むベトナム人のおばちゃんを社内にもぐりこませ、
研修生たちの相談役になるようにとの策を講じているとのお話も伺いました。
そういった細かい心づかいが、きっと大切なのです。
そして、それらは想いを社員が共有しやすい中小企業だからこそ、
できることでもあるのではないでしょうか。

人と人は、好き合えばずっと共に生きていきたいと思うもの。
でも、ビジネスを通してという前提がある以上、
シビアにならざるを得ない場面もあるでしょう。

「ともに生きていきたい」という人間のすばらしい欲求を、
たがいに持つことができたなら、
人間にとってそれに勝るしあわせはありません。

国が違う、言葉が違う、文化が違う、
そんな関係の二者が行動を共にするのだから、
もともとつながってさえいなかった糸は、
双方の共通項である「人間」をもってこそつながれる。

受け入れる側もその逆も、
それを忘れずに誠意をもって臨めば、
そこに生まれる仕事が、自身を、まわりを、
将来にわたって喜ばせることができるのだと信じています。

ベトナム・フリークとして一言。
STEP HARIMA 次の機会もぜひベトナムで!

(おわり)

Comments

  • ベトナムには、2,3度行ったことがありますが、観光地でないところに行きたくもっと
    いろいろなことを知りたいと思いました。

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