まるはだか!ベトナム旧正月テトの準備あれこれ。
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ふむにちわ!
ふむベト編集長のゾースケです。
2015年2月18日、旧暦では12月30日の今日は、
ベトナム・旧正月テトの大みそか!
家々はテトを迎える準備を終え、
いよいよ大みそかの夜の初もうでを待つのみです。
テトを迎える準備、と、簡単に言ってしましましたが、
この準備には、それはもう、いろいろとあるのです。
現在ベトナム人の家庭に居候しているぼくは幸か不幸か、
その特別な準備にことごとく駆り出され・・・
いいえ!同行させていただきました!
外国人旅行者としては、
店が軒並み閉まったりして何かと不便なテトですが、
テトを迎えるにあたってベトナム人の時間をたのしく奪うもろもろを、
ここでまるはだかにしてみましょう!
町が浮き足立つのは一週間ほど前から
旧正月テトを迎える一週間ほど前から、
町は賑やかに浮き足立ってきます。
テト用の食べ物、
テト用の供え物、
テト用の飾り付け、
テト用の花々。
そして何よりも印象的なのは、
ベトナムの国旗をはじめとする鮮やかな赤色。
ま、まぶしい!
特にテト直前の土日には、
テト用品を買い求める人々で町はごった返します。
浮き足立つ町に、浮かれ気分なひとびと。
ああ、ウキウキで買い物をして、
このままテトに突入だよーん!
と、いうわけにはいかないのであります。
やはりやります、大掃除
ベトナムでも、
新年を気持ちよく迎えるため、
年末の大掃除は欠かせません。
新暦の新年の前にはやりません。
旧暦の新年の前にこそ、やるのです。
ありがたいことに、
ぼくは宿賃をとられないほど、
家族同様の扱いをしてもらっています。
でもまさか!家族同様といっても掃除なんてやらせられないよ!
ということはまったくありませんでした。
居候先の家の掃除はおろか、
歩いてすぐのところにある祖父母の家まで!
二十歳と十八の娘は学校という名目で守られ、
お母さんとぼくが、老いた祖父母の手として駆り出されました。
くっそー!
とは、言えません。
無賃でありがたくござそうろう。
とても文句は言えません。
掃除の内容は、掃いて拭くだけ。
しかしそこはベトナムの家!
四階建てを、上から下まで。
しかもおじいさんは共産党のお偉いさんということもあり、
延べ床面積、ざっと200坪、とんでもなく家が広いのです。
ほこりの多いハノイですから、
少し掃くだけで黒いすすのようなものがどっさり。
風が強い冬のハノイですから、
掃いても掃いても巻き上がってもどってくる。
30分おきにおじいさんがのチェックが入る。
もう、せめてどこかでじっとしていて!
ほこりが舞うから、すり足で歩かないで!
てゆーか、なんでそんなに偉そうなの!?
なんて、言えません。
ぼくは、無賃でありがたくござそうろう。
お母さんは、嫁としゅうとの間柄。
たま~に手伝ってくれるおばあさんが、
とてもいい人に思えてきます。
掃除中は、ほこりまみれか濡れてびちゃびちゃ。
二日をかけて終えた最後の庭で、
やっとシャッターを押す機会を得ました。
悶々としながらとは言え、なんという達成感なのでしょう。
きれいにするということは、いいことです!
足がなくならないように!
大みそかから数日間は、
閉まってしまうガソリンスタンドもあります。
すなわち、その期間中は空いているところが大混雑するということ。
しっかりと、満タンにしておきます。
きんかんの木、桃の花、そして花、花、花
XA LỘ TIN TỨCきんかんの木は cây quất と呼ばれ、
たわわな金色の実と鮮やかな緑の葉は、繁栄の象徴です。
また、quất【橘】が cát【吉】と似た音であることから、
新しい一年に吉兆をもたらすと信じられています。
売られている木を見ているとどう見てもみかんでしょうというものも。
みかんは quýt(quấtの変音)ですから、どっちでもいいのかもしれません。
きんかんの木とともに欠かせないのが、桃の花。
ベトナム語で桃の花は Hoa Đào と言い、あざやかなピンク色の花です。
桃の花は北部の気候でちょうどこの時期に咲くので、
南部ではかわりに黄色い梅のような花を飾ります。
ところで、なぜ桃や梅の花を飾るのでしょう?
桃も梅も、古くから人々に親しまれてきた、新春に咲く美しい花。
咲き誇るその姿は幸運と安寧、幸福のシンボルとされています。
そして、桃の花については、こんな伝説もあります。
昔、ハノイの東方の山にそれはそれは大きな桃の木があったとさ。 巨大な桃の木の上にはふたりの神が住んでおり、 その力は民衆を守っていたんだと。 ある妖怪がふらりとこの地を訪れ好き勝手やってしまった。 妖怪はふたりの神からの罰を免れない。 それからというもの妖怪は、桃の花を見ただけで恐れおののくようになったとさ。
大みそかには桃の木のふたりの神は、天に昇ります。
この時ばかりは、めんどくさい妖怪の相手もひとやすみ。
でも、ふたりがいなくても大丈夫。
桃の木を見ただけで、妖怪は縮み上がるのですから!
桃の花も、節約のため路上のお姉さんから購入。
5,6本の枝で一組、25,000ドンなり。
(2015年2月16日現在、約135円)
きんかんの木、桃の花のほかにも、
色とりどりの花で家の中を飾ります。
菊(Hoa Cúc)やユリ(Hoa Ly)をはじめ、
Hoa Violet (紫の花)と呼ばれるオオヒエンソウ属の花も一般的です。
Hoa Violet はオオヒエンソウ(大飛燕草)の名のとおり、
漢字「飛燕」のベトナム語読みで Hoa Phi Yến、
「小鳥の足」の意の Hoa chân chim と呼ばれることもあります。
腹が減ってはテトは過ごせぬ!
日本のおせち料理と同じように、
正月のあいだの食糧という位置づけで、
ベトナムでもテトの前には各種食べ物を揃えます。
市場では生きた鶏がこれでもかというほど売り出されます。
普段は鶏なんて扱っていないような店でも、
生きた鶏を店先に並べてしまうほど。
生きた鶏をさばく手順は別の機会に譲るとして、
お母さんと走り回って買いためた肉という肉が、冷蔵庫のなかに!
こちら、見たままの、丸鶏。
テトの二週間ほど前に田舎から仕入れ、
家で飼いならしてまるまると太ったにわとりです。
購入時点で、二羽で500,000ドンなり!
(2015年2月現在、約2,700円)
お母さんによって見事にさばかれ、
今は冷蔵庫で活躍のときを待つのみです。
冷凍室もこのとおり。
丸鶏もう一匹、牛肉と豚肉二キロずつ。
テト中、タンパク源には困りません。
野菜はできるだけ新鮮なものを、
しかも大量に入手せねばならないため、
大みそかの朝、卸売市場へ繰り出します!
午前四時半だというのに、この大混雑!
いざ、参らん!
CHỢ ĐẦU MỐI の CHỢ は「市場」、
ĐẦU MỐI は「起点・はじまり」を指します。
文字どおり、商売のはじまり、卸売市場。
大量の野菜!
他の家のお母さんたちも同じく、
テト用の野菜をまとめ買いしています。
野菜だけではなく、肉も売ってます。
食べ物が揃ったところで・・・
もちろんお酒も欠かせません。
ビールは豪勢にワンケース!
お酒好きなお母さん、
テト中に飲み干すつもりなのかしら。
神棚も、その他もしっかりと。
ベトナムの家には、必ず神棚があります。
神棚に祀られるのは、先祖であったり、ブッダであったり、
道教や儒教の祖であったり、またその全てであることもあります。
ベトナムでは仏教や道教や儒教、先祖信仰、民間信仰、その他もろもろが
いっしょくたになって融合している場合がほとんどです。
つまり、おおよそベトナムの神棚はひとつでなんでも来いなのです。
そんなオールマイティな神棚も、テトを前に豪華に飾り付けられます。
こちらはなんにもないときの神棚の様子。
それが、テトの準備でこうなります!
これはまだ途中段階ですが、すでにいろいろ載っていますね。
手前には、テトには欠かせないちまき。
奥にはビスケットのようなお菓子。
そしてお母さんが今まさに手にしているものが、きんかんです。
わが家は鉢をまるごと買う余裕がない!
でもばら売りしてるからだいじょーうぶ!と、お母さん。
供え物としてはザボンの実も一般的です。
その他、桃の花、ワイン、ビールなどを加えて・・・
めでたく、神棚がテト仕様になりました。
これは、年神様のぼうしとくつです。
かまどの神様のときと同様、あとで燃やしてしまいます。
元旦は、親戚の家にあいさつ回りをします。
そのため、客間は特にきれいに飾りつけ、
お茶うけのお菓子をたくさん用意します。
チョコ、ナッツ類、ドライフルーツ、
ビスケット、紅茶、コーヒー、その他もろもろ。
テトの準備につかれたぼくの手が、
今すぐにでもチョコに伸びていきそうです。
玄関を入ってすぐ、一階にある客間。
とってもきれいで賑やかな雰囲気になりました。
特に、床が光るほどピカピカです!
ええ、お母さんに言われてぼくが拭いたんですもの!
しかしながら、
大掃除の翌日から、いえ、大掃除をしながらもなお、
二階から上はけっこうゴミ・汚れが目立ちます。
いっしょに掃除をしたぼくのせいでもありますが、
ここらへんは、お母さんの性格もあるのでしょう。
ともあれ、徹底的に体裁を気にするベトナム人、
客の目につかないところはともかく、
客間がある一階だけは、どの家もピッカピカな今このときです。
使われて、テトの準備は、まるはだか。
使われて、ぼくの権威は、やみのなか。
つかれたけれど、
居候の身だけれど、
楽しいテトを期待しています。
まずは今日の深夜、初もうでから!
(おわり)
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