敵の手に堕ちた虎
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とある動物園の、
自分と同じ種であるトラの檻の前で、
すこし舞い上がった発言をしてしまうふむ吉。
それを見ていた、
以前もふむ吉に暴言を吐いていたふたりに、
まるで瓜二つの二人組はダメ出しをします。
ふむ吉に向かって、お前なんてまさに、
敵の手に落ちた虎じゃねえか
て、敵とは誰のことをいっているんだ!?
それにふむ吉は、
ベトナムが好きなだけなのに!
まあ、
この問題は後で触れることにして、
彼らの発した言葉こそが、
今回の注目ワードなのです。
ベトナムのことわざには、
たとえ神聖なる虎でも窮地に立たされればたちまち凡庸な存在となる
という言葉があります。
ベトナム語では、
[トラ] [聖なる] [~の時] [過去副詞] [追い込まれる] [強調] [平凡な]
といいます。
意味としては文字面どおりなのですが、
人々はしばしば生活の中で、
権力に恃んで横柄なふるまいをする人物を皮肉って、
「高い身分の人間も、その地位さえ失えばただの凡人である」
といった意味合いで使う場合が多いようです。
また、
「相応しい環境を離れれば、十分に能力を発揮できない」
という意味もあり、
自分の能力にそぐわない職場に就かなければならない場合に、
その境遇を嘆いたりするのによく使われます。
日本にも、
「木から落ちた猿」や、
「陸に上がったカッパ」など、
似たような意味をもつ言葉がありますね。
(なんだか違う気もするけど・・・)
その環境が分不相応であるのかどうかは、
自分のやる気しだいでしょうというような気もしますが、
すくなくとも、
自分の立っている場所を相対視するにあたっては、
心に留めておくといい言葉なのかもしれません。
またこの言葉に似た表現で、
[龍] [黄金の] [浴びる] [水] [沼]
khôn ở với ngu bực mình.
[人] [聡明な] [一緒に] [人] [愚かな] [憤る]
という言葉もあります。
この場合も、
「黄金の竜が流れの淀んだ沼で水浴びをするように、
聡明な人でも平静を失った愚かな人間と一緒では事をなせない」
というような意味で、
(ちょっと過激ですが)
トラの言葉と合わせて、
thiêng khi sa cơ hèn.
と言われる場合もあります。
おもしろいですね!
さて、
今回もいじられ役に徹してくれた、
アイデンティティーが崩れ落ちそうなふむ吉。
でもふむ吉は、
ベトナムが好きだからこそ、
あんなミラクルな姿になったのです!
それに、
直立二足歩行だし、
服も着てるし、
眼帯だって、文句なしにナウいですよね~
ファイト!ふむ吉!
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