シン・チャオだけじゃ物足りない!

ふむにちわ!

今回は、
みなさんご存じの方も多くいらっしゃるベトナム語の「ふむにちわ」、
「シン・チャオ」についてディープに掘り下げてみましょう。

シン・チャオの意味

ベトナム語を学ぶとき、
その入り口で必ず登場する挨拶のフレーズ、シン・チャオ。
ベトナム語では とつづります。
は漢語で「請」に当たる thỉnh の音が変化した語で、
文字どおり、何かをお願いする、求める、頼むという意味があります。
このようなものを頼むときの姿勢が転じて、
さまざまな語に前置して丁寧さを表す表現として使われます。
そして、
は挨拶の際に必ずと言うほど頻繁に使われますが、
実はほかに、
「家に他人を招き入れる」、
「客を呼び込む」などの意味があり、
国旗への敬礼の際にも使われます。
cờ : cờ は「旗」の意)

このように、
「シン・チャオ」はとても丁寧な表現であり、
相手への親密さや敬意も込められた、
まさに挨拶にふさわしいことばなのです。

シン・チャオの使われ方

上述のとおり、
確かに「シン・チャオ」と言えば、
当たりさわりなく、
相手との人間関係において何ら問題は生じませんが、
ベトナム人がベトナム人に「シン・チャオ」という時、
このフレーズが単独で使われることはほとんどなく、
必ず「あなた」を表す呼称詞を続けます。

ベトナム語の呼称詞は、
相手の性別や話し手との人間関係、
年齢の上下などによって細かく使い分けられます。
ここですべてを挙げると長くなってしまうので、
すこしだけ例を見てみましょう。

例えば、
. のように、
相手が自分より年上の男性の場合、
呼称詞として主に が用いられます。
年上は年上でも、
自分のおじいさんにあたるほど上ならば
自分と同じか、自分の兄と同等もしくは上ならば
という具合です。
このような呼称詞は、
おじいさん ⇒ 、兄 ⇒ のように、
そのほとんどが親族名詞からの転用ですから、
自分の家族構成と照らし合わせて選ぶといいでしょう。
しかし、 は目下の相手に使う場合もありますし、
呼称詞の種類はとても数が多く、
呼称詞のかわりに「先生」などの職業を表す言葉を使う場合もあり、
ベトナム語を知らない外国人に説明するには少々ややこしすぎるのです。
このような背景があるので、
ベトナム語の挨拶としてはまず「シン・チャオ」ですよという場合が多いのですが、
実際のコミュニケーションの場面では、
「シン・チャオ」に続けて相手を表す呼称詞を用いると、
より親密で丁寧な表現になり、
その相手との人間関係の先行きも明るくなるのです。
そして実際に関係が深くなった相手には、
「シン」を使わずに . だけで立派な挨拶になります。

みなさんも「シン・チャオ」を使うときには、
「あなた」を表すことばをぜひ一緒に言ってみてください。
相手はきっとうれしくて、
やさしい微笑みとともに、
「シン・チャオ」に続けてあなたを「あなた」と呼んでくれるはずです。

追伸

イタリア語にも「チャオ(Ciao)」という挨拶のことばがありますが、
こちらはかなり親密な間柄どうしで用いられる表現であり、
言語学的にもベトナム語の「チャオ」とのつながりはないようです。

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