カンザー。マングローブの森が呼んでいる!その④

ふむにちわ!

前回はおおよそヤギのせいで、
森の奥までお伝えできませんでしたが、
今回はもうすでに森にいますので、
お伝えします、森のこと!

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あらためて、
「ようこそヴァム・サット観光地区へ」の文字がまぶしい!

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このあたりです。

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ご覧のように、ここは観光目的の施設なので、
さまざまなアトラクションがあります。

カヌーやモーターボートにのったり、
サカナ釣りにワニ釣りなど、いろいろです。

ぼくはただ森が見たかっただけだったので、
ただ散策するだけのチケットを購入しました。
(詳しくはヴァム・サット観光地区のページでどうぞ)

タイさん:カヌーなんか乗ってたらおめー、おばちゃんの家でのめしに間に合わ・・・

と、タイさんが言いかけたことはなかったことにしておきましょう。

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散策コースへは、写真のつり橋から向かいます。
足場に木の棒一本だけをあしらえたかなりファンキーな橋です。

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よっ・・・。

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よよよっ!!

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ふえ~!めっちゃくちゃこうぇー!!!

タイさんの年甲斐もないはしゃぎっぷりに、
ああ、これがしたかっただけなんだなと悟りました。
あんなにヴァム・サット推しだったタイさん。
ちょっと、かわゆい。

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ところでこの橋、油断は禁物です。
落ちたら、ドロドロになること間違いなし!

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無事、渡り終えました。

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目的を遂げて、風のようにさわやかに歩き出すタイさん。

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なぜか、その背中が大きく見えません。

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ここらへんの木々は比較的若いものだと思われますが、
すでに立派な根っこをたくわえています。

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これぞ、マングローブ!

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自然に芽吹いた種子の葉っぱが、
ぼくを笑顔にさせてくれます。

目的を遂げてさっさといってしまう男と、
木を見てにやける男。
へんなふたりです。

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ひとつ上の写真は、自然に種子が落ちて地面にささったものですが、
こちらは植林されたものです。
いっせいに葉をひらき、大きくなろうとしているようです。

さらに、
森は多様ないのちをはぐくんでいました。

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ド派手なカニ。

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ムツゴロウ的なサカナ。

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えっと・・・しし神様!?

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これはシカの道。お客さんは入らないでね。

と書かれた看板があるほうから、散策エリアへ進むシカ。
ほんとにシカなのかしら。

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敷地内にあるレストランには、「シカの炒め物」のメニューが。
シカは道をゆずられても、肝心なところはゆずってもらえないようでした。

さて!
メインスポットに向かいましょう!
カンザーの森を一望できる、展望台があるのです!
来た道をもどります。

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ふっふっふ。

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ひょー!!これ落ちたらあ※〇×□△!!

ほんとうに、好きなんですね。

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展望台のふもとで、野生のサルが飛び出してきました。
ちょうど団体客が船で戻ってきたタイミングだったようで、
大勢の人間がくると食べ物を狙ってサルがでるようです。

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展望台ふもとの看板です。

タン・ボン・タワー

26メートルの鉄塔は、空に向かって放つ矢をイメージした形状。
134~138段のアーチ状の階段の先に、4階層の展望エリア。
フート観光サービス社により、 この地で民族解放のために犠牲になった、 820以上のマングローブ林第10連隊特攻部隊、 何千もの同胞たち、兵士、英雄たちに、 感謝と祈念の意をこめて。

ちなみにTang Bồng(タン・ボン)は漢字で桑蓬と書き、
桑の木の弓と、蓬(よもぎ)の矢のことで、
男子が志を立てて生きることを意味しています。

祖国のために戦った彼らの志は、
まさに弓矢のように勇ましく鋭かったのでしょう。
しかし、その志に内在するものは、複雑であったに違いありません。
故郷を捨て、家族を捨て、
故郷のために、家族のために、
自らのいのちを、射てば戻らぬ弓矢と化したのですから。

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すこし厳粛なおももちで、タイさんも登ります。
しかし、途中でアリに背中を噛まれていました。
(サムライアリのような狂暴なアリがいます。気をつけて!)

展望台頂上からの景色です。

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17年前にカンザーで植林をしたと書きましたが、
当時12歳の少年にとって、
目の前ににょきにょきと根っこを伸ばした未知の植物があり、
その種子を植えるという体験だけで、胸がいっぱいになりました。
「カンザー」「マングローブ」というキーワードと、
そこに育とうとしていた新しい緑の色以外、
ぼくの記憶には残っていません。

しかし、この広大な森のなかで、
どこに自分が植えたのかなんて、どうでもいいことに思えてきます。

かつてこの地で、
大切なもののためにいのちを投げ出して戦った人々がいたこと。
戦場へ赴けば、
もう妻の笑顔も、子の泣き顔も、両親の心配顔も、
二度とみられないと知りながら戦いに出た人々がいたこと。

この森は、ただの荒野に木々がよみがえった森ではないのです。
愛する者のため、祖国のために戦い、彼らが倒れた森。
彼らのいのちとともに、木もいのちを失った森。
そこに今を生きる木々たちが、
残された人々の手によって植えられたのは、
必然だったのかもしれません。

いま、目の前に広がる木々は、きっと彼らなのでしょう。
この地で倒れた人々の想いが、
空へ向かう無数の矢となって、生い茂っているのです。
「おれはここにいるんだ」という声が、
ぼくには聞こえました。

マングローブは、
ぼくがベトナムに関わることになったきっかけです。

妻とも、
ベトナムに関わらなければ知り合うことはなかったでしょう。

そしていま、ベトナムそのものを、仕事にして生きています。
(食えている、とは言えないけれど。。)

ふむふむベトナムをベトナム発信にするにあたり、
まず南のホーチミン市に来たわけは、
このカンザーの森にあいさつをしたかったからです。

人間、食べていけなければお話にならない。
ぼくが個人で、ベトナムと関わって食べていくことは、
けっこう難儀なことだと感じています。

しかし、ぼくの生き方に方向性をくれたベトナムと関わりながら、
愛するもののために戦った人々のように、
ぼくも大切なものを守っていきたいと思っています。

ベトナムに、感謝を込めて。

ありがとう、カンザーの森。

PS.おばちゃんの家での昼食予約について

はしょってしまおうかとも考えましたがなかなか興味深かったので、
別の機会に番外編としてお届けします!
お楽しみに!

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