ベトナムの「におい」
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ふむにちわ!
突然ですが、
ベトナム語を学ぶ皆さんにとって、
ベトナム語のどういう所が難しいと感じるでしょうか?
やはり、
なんといっても発音だよ、
という声が聞こえてきそうですが、
今回は語彙、ボキャブラリーに焦点をあてて、
とりわけ におい や かおり について、
ディープに掘り下げてみましょう。
日本語の「におい」と「かおり」
ベトナム語について見ていく前に、
まずは日本語の意味を確認してみましょう。
広辞苑によると、
「におい」は かおり、香気、臭気 とあり、
よい香りとそうではないくさみの両方を指す語であるとされます。
漢字では「匂い」のほか、
とりわけ悪臭を表す場合は「臭い」とも書かれますね。
さて、
この「におい」ですが、
日本の古典では嗅覚で感じるもの以外に、
人物の人柄やものごとの雰囲気、気分やおもむきなどを示す語として用いられています。
これらは、
対象が持ち放つ存在感そのものを表す語であると言え、
現代語でも、たとえば「犯罪の匂いがする」というように用いられますね。
それでは、「かおり」はどうでしょうか?
同じく広辞苑によれば、
「かおり」とはすなわちよいにおいであり、
またものごとの美しさを示す語でもあります。
「かおり」には「悪臭」の意味はないと言えるでしょう。
ベトナム語の「におい」と「かおり」
日本語の「におい」と「かおり」に当たるベトナム語は以下のようになります。その香りがどのような匂いであるかを表すには、
mùi tanh 生臭い などのように
具体的な語を後に続けます。
詩や音楽などに「おもむきがある」ことも表します。
動詞として用いれば「よい香りがただよう」と言う意に、
形容詞としてなら「香りのいい」という意になります。
ベトナム語の「よい香り」
より一般的に用いられるのは thơm という形容詞です。
具体的にどのような香りであるかに関係なく、
広く「よい香り・いい匂い」の意で用いられます。
上述の「におい」「かおり」を表す語 mùi や hương と合わせて、
mùi thơm や hương thơm で「いいに匂い」「いい香り」の意になったり、
hoa thơm 香りのよい花
thịt nướng thơm 香りのよい焼肉
のように、様々なモノの香りがよいことを表します。
ベトナム語の「くさい」
それでは、「くさい」とベトナム語でいう場合、どのような表現があるでしょうか?
日本語でいろいろな「くさい」を言う場合、
「汗臭い」「生臭い」など、
においを表す具体的な語を頭に置いて表現しますが、
ベトナム語では「くさみ」の種類によって、
以下のようにつづり自体が互いに異なる多種多様な語を用いて「くさい」を表します。
⇒ 吐き気をもよおすような生臭いにおいに
例)魚、肉
⇒ 大便や腐乱死体のような腐敗臭に
例)大便、腐った卵、口臭
⇒ カメムシのよいに鼻にツンとくるクセの強いにおいに
例)口臭、便所、汗
⇒ 髪の毛や爪などの蛋白質が焼けるような焦げ臭いにおいに
例)食べ物、髪の毛、ゴム
⇒ 熟す前の果実のような青臭いにおいに
例)果実、野菜
⇒ 硫黄化合物のような刺激臭に
例)焦げた米
⇒ 鼻や目にツーンとくる刺激臭に
例)タマネギ、ヌックマム
⇒ 小便のようなアンモニア臭に
例)小便、便所
ベトナム語の「くさい」、多すぎですね!
始めのうちは使う場面がわからず困ってしまいますが、
耳を澄まして聞いているとベトナム人が細かく使いわけているのがわかります。
よく聞いて、シチュエーションごと覚えてしまいましょう。
最後に、上記「くさい」の用例をご紹介します。
そこまでくさくないのかもしれませんが、
hương でも thơm でもないであろうことは容易に想像できてしまうあたり、
身内としても心休まらぬところです。
(おわり)
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