テト休みの一週間、テトを食べ尽くす一週間 ~食べる編~
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ふむにちわ!
ふむベト編集長のゾースケです。
ベトナムの旧正月テトについて、
数回にわたってご紹介してまいりました。
テトの前のいそがしい準備、
年が交わる大みそかの夜、
すてきな一年を願う初もうで。
そして残るは・・・
食べることだけ!
というわけで、
あらかじめ言っておきましょう。
今回は、食べるだけの内容です!
親戚をたずねたずねて
ベトナム人の旧正月テトの過ごし方、
それはズバリ、親族・親戚をたずねて回ることです。
大みそかの夜に家族だけの大切な時間を過ごし、
年が明けたら家族みんなで、他の家族に会いに行きます。
よーし、適当に回るぞー!
というわけにはいきません。
ルールとまでは言えないものの、
親戚まわりにもシキタリがあるのです。
ぼくの居候先を例にとると、
元旦と五日は、つまり、テトの最初と最後の日は、
祖父母の家を訪れ、ごちそうを一緒に食べる。
午前は内祖父母、午後は外祖父母。
お父さんが「工作」に出ていていないわが家では、
いわゆる内祖母、つまりお父さんの実家で過ごすことは、
お母さんにとってあまり心休まることではありません。
一刻も早く、自分の実家でテトを過ごしたい!
そう顔に書いてあるようなお母さんですが、
まずはお父さんの実家でごちそうを囲むのがシキタリなのです。
元旦午前、内祖父母の家に子、孫たちが集まってきました。
庭に留められたバイクの数が、
集まった人数の多さを物語ります。
集まった親族どうし、お年玉を渡します。
北部では mừng tuổi、南部では lì xì と呼ばれ、
子どもたちにはもちろん、成人した子や孫から親や祖父母にも渡します。
胃と肝臓に気をつけて!?
内祖父母宅での元日お昼の宴会を皮切りに、
テトの親戚まわりは休むところを知りません。
外祖父母宅、つまりお母さんの実家にて、
元旦の晩ごはんのワンショット。
お母さんの兄弟姉妹、その夫や妻、その子どもたち、
みんな集まって大宴会です。
どの国でもそうなのでしょう、
一番うれしそうなのは、子や孫を見て頬がゆるむ祖父母です。
二日以降もつづきます!
元旦に祖父母の家でごちそうを囲んだあと、
二日以降はいとこ・親戚宅をまわります。
血のつながった者どうし、
家族になった者どうし、
ごちそうを囲み、酒を飲み、
つまらない話に花を咲かせます。
花が咲いたつまらない話ほど面白いものはなし。
親しく思い合う者どうしですから、なおさらです。
モッ・ハイ・バー・ゾー!
乾杯のかけ声が止むことを知りません。
三日、ぼくの居候先の家にも人が集まります。
見ての通り、メンバーはほぼ同じ。
場所を変えて、連日ごちそうを囲みます。
モッ・ハイ・バー・ゾー!
モッ・ハイ・バー・ゾー!!
モッ・ハイ・バー・ゾー!!!
ゾー!!ゾー!!ゾー!!
ベトナムの旧正月テトは、元旦から五日まで続きます。
飲み、喰い、しゃべり、笑い、
胃は満タン、肝臓はフル稼働、胸はいっぱいになります。
新しい一年を、みんなで祝って歩き出します。
食べ、食べられ、食べ尽すテト
ベトナム語で「食べる」は「アン」ăn と言います。
「アン」は多義語で、「食べる」のほか、
「調和する」「つながる」「祝う」「宴会に出る」など、
たくさんの意味合いを持っています。
そして何を隠そう、「アン・テト」と書いて、
「テトを過ごす」と言う意味になるのです。
テトで家族が調和し、
テトで親戚がつながり、
テトで宴会をして一年を祝う。
テトをアンする、「アン・テト」には、
そんなめでたいもろもろを、
みんなで食べ尽そうというきもちが込められているのです。
大みそかからはじまり、
五日まで続く約一週間のテト休み。
一年のはじまりを食べ尽す一週間。
テトにむかえ、家族がつながり、みんなで祝う。
そのよろこびのすべてが、
ベトナムの「アン・テト」に詰まっています。
(おわり)
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