Vietnam Foodspedia
Dog meat
犬肉
炙った皮付き肉を、香草や発酵エビのたれと味わうベトナムの食肉文化の一面。
どんな食材?
人と暮らす家畜化された犬の肉。ベトナムでは料理店に加え、肉を扱う市場や露店でも売られてきた。犬種や部位は一様ではなく、皮や脂身を付けた肉を切り分けて調理する例がある。
ベトナムでは北部を中心に食される。ハノイの料理例では、皮を炙って毛を除いた肉を、蒸したり、炭火で焼いたりする。蒸した肉は赤身・脂・皮が層になって見え、焼いた皮と脂には歯ごたえが生まれる。ハノイで供された犬肉には、脂のこくや強い肉の香り、噛みごたえを感じるものもあり、部位や調理法で印象が変わる。
ベトナムでの使われ方
ハノイの犬肉料理店では、蒸した肉や炭火焼き、犬の腸を使うソーセージ状の dồi chó(犬の腸詰め)などを皿に盛り合わせる。皮付き肉にガランガル(ショウガ科の香辛料)、レモングラス、発酵させた米の酸味をまとわせて焼く料理もある。食べるときには、葉に肉を包み、塩辛く香りの強い発酵エビのたれ mắm tôm を添える。
Thịt chó 7 món(ティット・チョー・バイ・モン)は、ベトナムで伝統的に食べられている犬肉を使った7種類の代表的な料理コース(またはその食文化)のこと。
お店や地域によって多少異なるが、一般的には以下のような調理法で提供される。
- Rựa mận(リュア・マン):犬肉をガランガル(生姜の一種)、レモングラス、エビの発酵調味料(マムトム)などで煮込んだもの。
- Hấp(ハップ):旨味をシンプルに味わう蒸し肉。
- Nướng(ヌオン):香ばしく炭火で焼いた串焼きや焼き肉。
- Dồi(ゾイ):犬の血やハーブ、緑豆などを腸に詰めたベトナム風ソーセージ。
- Chả chìa(チャ・チア):肉を骨に巻き付けたり、レモングラスの茎に巻き付けて焼いたもの。
- Xáo măng(サオ・マン):タケノコと一緒に煮込んだスープ。
- Rán / Chiên(ザン/チエン):カリッと仕上げた揚げ物。
💡 食文化としての特徴
- 独特の薬味:臭みを消すために、マムトム(紫色の強いエビの発酵塩辛)、レモングラス、ガランガル、アプリコットの葉(Lá mơ)などの強いハーブと一緒に食べるのが鉄則。
- お酒のお供:食事というよりは、男性たちが集まってベトナムの米焼酎(Rượu đế)を飲みながら楽しむ「おつまみ(Nhậu)」として親しまれてきた。
- 俗信:ハノイでは、旧暦の月末に犬肉を食べて不運を払うという俗信があり、月末に客が集まる店もあった。運が良くなるという効果が確かめられたわけではない。また、この習慣はベトナム全土に一様にあるものではなく、特に南部では同じ考え方が聞こえてくる場面は少ない。
流通と食習慣は変わりつつある。2023年のハノイでは生肉の売り場と料理店が取材されている一方、犬を家族の一員と考えて食べない人も増えている。動物の盗難や衛生・動物福祉上の問題を背景に、流通をなくすための取り組みも進められている。都市部では犬肉を提供する店は急速に減少している。
見分け方
giả cầy は「犬肉風」の意味合いで使われる料理名で、豚の足などを炙ってガランガルや発酵調味料と煮て犬肉に似せた料理がある。



