Vietnam Foodspedia
Fermented Ragworm Condiment
ゴカイのマム
旬の川辺で採れる小さな多毛類を、季節を越えて味わう発酵調味料。
マムルオイ(mắm rươi の日本語向け音写。)
Fermented Ragworm Condiment(製品の原料と加工状態を説明する英語訳。定着した固有商品名ではない。)
Mắm rươi(mắm は塩を使った発酵食品、rươi は川の河口近くの泥地などにすむゴカイ科の多毛類の呼び名。)Ruốc rươi(北部で mắm rươi と同じ発酵調味料を指して使われる呼び名。)
どんな食材?
川の河口近くの泥地などに生息する小さな多毛類、rươi(ルオイ)を塩と一緒に発酵・熟成させた調味料。mắm は塩を使った発酵食品を意味する。原料の rươi は魚やエビではなく、ゴカイ科の細長く柔らかい体を持つ生き物。
北部の伝統的な製法では、塩と混ぜた原料をなめらかにかき混ぜ、壺で熟成させる。炒り米粉(thính)、酒、乾燥したミカンの皮、ショウガを加える作り方もあり、仕上がりは黄褐色でとろみのある濃い調味料となる。瓶詰めの製品も売られている。
ベトナムでの使われ方
ベトナム北部の紅河デルタでは、秋に採れる rươi を保存して長く楽しむ食べ方の一つ。かつてのハノイの家庭では、季節の原料を仕込んでおき、ゆでた豚肉や豚足と、春菊・香草・レタスなどの野菜に添えて食べた。ショウガやミカンの皮を加えると、濃い塩味に爽やかな香りが重なる。
現在も北部の Tứ Kỳ(旧 Hải Dương 省の地域名)に結び付いた商品が瓶で売られ、肉や野菜のつけだれに使われる。ご飯に合わせたり、卵を加えて蒸し煮にしたり、肉や魚の煮込みの調味に使う食べ方もある。
南部の Trà Vinh 地域には、同じ rươi を塩水と発酵させ、液体を取り分けた nước mắm rươi(ルオイの発酵調味液)もある。こちらは液状で、魚の煮付けやつけだれに使われる。北部のとろみのあるマムルオイとは、仕上がりと使い方に違いがある。
見分け方
発酵した原料を使う調味料でも、何を仕込み、どの状態で取り出すかによって食卓での役割が変わる。
- マムルオイ:多毛類の rươi を発酵させた濃い調味料。北部ではとろみのある状態で肉・野菜に添える。
- ルオイの発酵調味液:nước mắm rươi は液体を取り分けた製品。南部 Trà Vinh の製品では琥珀色の瓶詰めとして売られる。
- 一般的な魚醤:ヌックマムは主に魚を塩と発酵させた調味液。rươi を原料とするマムルオイとは原料が異なる。



