Vietnam Foodspedia
Star anise
八角
星形の乾燥果実で、甘くアニス様の香りをもつ香辛料。ベトナムでは phở のスープや bò kho の煮込みに、シナモンなどと合わせて使う。
Illicium verum Hook.f.(Kew Plants of the World Online が受容する学名。)Illicium stellatum Makino(Kew Plants of the World Online が示す異名。)
八角(料理用の乾燥果実を指す一般的な日本語名。)スターアニス(八角と同じ香辛料を指す名称。)大茴香(八角の別名。)
Star aniseChinese star anise(有毒な Japanese star anise と区別するときに使われる名称。)
どんな食材?
八角は、マツブサ科の常緑樹 Illicium verum の成熟した果実を乾燥させた香辛料である。ベトナム語では hoa hồi や đại hồi と呼ばれる。hoa hồi という呼び名に hoa(花)が入るが、食材として指しているのは花ではなく星形の果実である。
一つの果実は、舟形の袋果が中心から放射状に並んだ複合果で、乾燥すると濃い褐色になる。通常は6〜8個ほどの袋果が星形をつくるが、数には幅があり、八つに固定されない。熟した袋果が開くと、なめらかで光沢のある褐色の種子が見える。乾燥果実は硬く、食感を楽しむというより、煮汁やスープに香りを移す香辛料として使う。
香りは強く甘く、アニスや甘草を思わせる。似た香りのアニスシードはセリ科の Pimpinella anisum で、八角とは別の植物である。
ベトナムでの使われ方
ベトナムでは、八角は香りを煮汁へ移すホールスパイスとして使われる。代表的なのが phở で、牛骨などのだしに八角、シナモン、クローブなどを合わせて香りをつける。ベトナム観光当局の料理紹介でも、phở のスープには star anise、clove、cinnamon を香らせる例が示されている。
牛肉の煮込み bò kho にも使われる。ベトナムの料理資料では、八角とシナモンを軽く煎って香りを立たせ、牛肉と一緒に煮込む例がある。phở でも、乾いた八角を他の香辛料とともに軽く煎ってから布袋などに入れ、長く煮る作り方が見られる。星形の実をそのまま食べるためではなく、温かいスープや煮込みへ甘く温かみのある香りを加える役割が中心である。
見分け方
料理用の八角は、乾燥すると褐色で、通常6〜8個ほどの舟形の袋果が比較的整った星形に並ぶ。袋果が開いたものでは、内側に光沢のある褐色の種子が見える。
有毒な近縁種を混同しないことが重要である。ベトナムの薬用植物資料では、Illicium anisatum は小さな袋果が12〜16個、Illicium griffithii は鎌状に曲がった袋果が12〜16個とされ、料理用の I. verum と区別される。ただし、外見だけで安全性を保証できるわけではなく、研究では粉末や混入品の識別に顕微鏡、GC、DNA法などが用いられている。
