Vietnam Foodspedia
Rice field crab
田ガニ
水田や水路で採れる小型の淡水ガニ。つぶしてこした汁を固める汁物や麺料理、丸ごとの炒り物・揚げ物などに使う。
Sayamia germaini(メコンデルタの2026年調査で確認された構成種の一例。)Somanniathelphusa pax(メコンデルタの2026年調査で確認された構成種の一例。)Esanthelphusa dugasti(メコンデルタの2026年調査で確認された構成種の一例。)Somanniathelphusa sinensis(メコンデルタの2026年調査で確認された構成種の一例。)
田ガニ(ベトナム語 cua đồng に対応させた日本語表記。単一種の標準和名ではなく、食用の小型淡水ガニ類をまとめて指す。)
Rice field crab(複数種を含む食材・生態上の呼び名として用いられる。)
Cua đồng(水田や淡水域の小型ガニを指す食材名。地域により複数種を含む。)
どんな食材?
田ガニは、ベトナム語で cua đồng と呼ばれる、水田や水路、池などの淡水域にすむ小型のカニ類を食材としてまとめた呼び名である。単一種とは限らず、メコンデルタの調査では複数種が同じ呼び名の下で確認されている。一方、ベトナムの行政資料では Somanniathelphusa sinensis を cua đồng と対応づける例があり、地域や用途によって一種名のように扱われる場合もある。
大ぶりの海ガニに比べると身の量は多くないが、身には自然な甘みがあるとされる。胴を細かくつぶして水に溶き、こして加熱すると、こしたカニの身がふわりと固まって riêu と呼ばれる塊になる。この性質を生かした汁物や麺料理が多く、丸ごと揚げたり炒ったりすると殻ごとのカリッとした食感を楽しめる。
ベトナムでの使われ方
代表的なのが bún riêu cua(カニの凝固物を浮かべた米麺の汁物)である。市場では下処理して挽いた田ガニを買うこともでき、つぶした胴を水で揉んでこし、ゆっくり加熱して riêu を浮かせる。甲羅側から取った gạch cua(カニみそ・卵巣などの濃い部分)は別に炒め、トマトの酸味を利かせた汁へ合わせる作り方がある。
家庭の汁物では、同じようにこしたカニ汁を葉野菜の mồng tơi やヘチマと煮る canh cua đồng がある。夏向きの料理として紹介され、加熱するとカニの身がまとまって表面に浮くのが特徴である。
小さな個体は丸ごと火を通す料理にも使われる。北部では cua đồng rang lá lốt のように、田ガニをカリッと炒り焼きにして lá lốt(香りの強いコショウ科の葉)と合わせる例がある。南部の Sóc Trăng では、田ガニをつぶし、塩や炒り米粉などと発酵させて調味液にする mắm cua đồng も伝えられている。
見分け方
cua đồng は水田・水路・池などの淡水域で採れる小型ガニの呼び名で、海や汽水域の大型ガニを指す cua biển とは食材上の区分が異なる。Cua đồng 全体には複数種が含まれ、構成種の一つ Somanniathelphusa sinensis では、甲羅はほぼ四角形でやや盛り上がり、表面に溝が見えると記載される。
