Vietnam Foodspedia
Linecheek tank goby
チャークック川の砂ハゼ
ベトナム中部・チャークック川の食卓に伝わる、小さなハゼの胡椒煮の主役です。
どんな食材?
ベトナム中部の Quảng Ngãi を流れる Trà Khúc(チャークック)川の食文化に結びつく、小型のハゼの一種。細長い体は褐色から黄色みを帯び、長く尖った口先と、前に出た下あごを持つ。ベトナム南部のメコンデルタで採集した本種は全長8〜12cmの個体が多く。
名前の cá は「魚」、bống はハゼ類、cát は「砂」、sông Trà は地域の川を指す。この呼び名は「チャー川の砂ハゼ」という意味合いで使われるが、この魚が川だけに暮らすという意味ではない。
本種はメコンデルタの淡水域や汽水域にも生息する。カントーの Cái Răng の淡水域と、Sóc Trăng の Long Phú の汽水域で採集されており、分布域はベトナムに限らず、タイ、マレーシア、シンガポールにも及ぶ。
ベトナムでの使われ方
Quảng Ngãi の Trà Khúc 川沿いでは、川に沈めた竹筒でハゼ類を捕る。地元で cá bống cát と呼ぶ小魚は、砂糖、ヌックマム、塩、胡椒で下味をつけ、汁気を煮詰める cá bống kho tiêu(ハゼの胡椒煮)にする。煮ると魚は小さく縮み、身が締まり、胡椒の利いた濃い味の一皿になる。
この川の胡椒煮には cá bống cằn と呼ばれる別の小魚も使われる。地元の人が故郷の味として思い起こす川魚料理の一つで、故郷への思いを詠んだ詩にも登場する。
本種はメコンデルタでも採捕され、生鮮の食用魚として扱われる。Quảng Ngãi では、この魚を対象に人工繁殖や淡水・汽水での試験養殖、資源回復に向けた事業も進められてきた。
見分け方
本種は近縁のカーボンカットトイ(Glossogobius giuris)と細長い体型が似る。丸ごとの魚でも、口先の形だけで両種を区別することは難しい。
- 体側の模様:本種には、カーボンカットトイで見られる体側の縦の黒い線がない。尾びれには暗色の縦帯が現れる。
- 頬の小さな感覚器:本種は頬に5〜6列、カーボンカットトイは約10列の小さな感覚器が並ぶ。肉眼での買い分けよりも、専門的な同定に使う特徴。



